私は乳牛の臨床を44年間、経営コンサルタントを35年間やってきた。経営を考える場合に以下の3本の柱を検討します。
自動車工場を例にとると
①従業員1人当たりの生産台数
②幾らの車を生産するか。単価
③利益率(経費を引いた残り)
以上の3点です。一人当たりの出荷台数を多く、車単価を高く、利益率を高く3本の柱の掛け算です。3本が高くなればなるほど効率がよく儲かることになります。ここで気を付けなければならないことは、③利益率は1.0以下です。下手をするとマイナスになります。掛け算なので1つでもマイナスなら、どんなに生産台数が高く、超高級車を生産できても、すべてが赤字に転落します。これらを酪農に置き換えてみると
①従業員1人当出荷乳量×②乳価×③利益率
=①従業員1人当出荷乳量×②乳価×③利益率((利益―餌代)/利益)=効率
となります。利益率中最大の経費である餌代の高騰により利益率の低下、あるいはマイナスとなり、今の酪農現場は、赤字に転落しつつあるかと思われます。
問題はここからです。飼料が高騰したと皆さんよく言っていますが、1頭当たり1日当たりいくらだったものが、今いくらになったのですか?この価格(餌代/頭/日)円を見たことがありません。私も、経営が苦しいという酪農家に“価格(餌代/頭/日)円”を聞いてまともに返答できる酪農家はほとんどいません。経営の苦しい酪農家だけではなく、金融機関の融資担当者、農場団体の指導者もほとんど把握してないと思います。
「価格(餌代/頭/日)円は、日本全国ほとんど同じで、違っても100円、200円の違いで、違ってくる要素は、自給飼料を作れば安くなり、作らないなら高くなる。」という固定概念、思い込み、他を認めたくないなどから来ているものだと考えられます。
餌代は、飼料計算をする人によって大きく変わることを認識してください。価格(餌代/頭/日)円は1,000円も2,000円も変わり、半分以下にすることも可能です。
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